ビジネスにおいて自らの主張を相手に適切に伝えなければならない場面は多くありますが、一瞬で考えをまとめて筋道を立てて順序立てて話をすることは難しく、多くのビジネスパーソンが苦手意識を持っています。
しかし、筋道を立てて論理的に発言することで話の信頼度や理解度が上がるだけでなく、理解度不足からなる判断ミスを防ぐことにもつながります。
論理的に話をすることは、ビジネスにおいて今や必要不可欠なスキルです。
論理的な思考を実践するためには生まれ持ったセンスは必要ありません。トレーニングと地道な努力次第で誰でも実践できます。
論理的な思考、つまりロジカルシンキングを鍛えてビジネスに活用しましょう。
思考法とは?
前提として、思考法について解説していきます。
問題解決のための思考法は数多く提唱されており、今や60を超える思考法が提唱されています。
思考法を実践する上で最も大切なことは、思考法を全て実践することではなく現在問題となっている事柄に対して適切な思考法を見つけることです。また、自分が得意な思考法を1つ持っているといざという時に役立ちます。
代表的な思考法3つ
多くの思考法の中で代表的な3つの思考法をトリプルシンキングと呼びます。
ロジカルシンキングにて全体のロジックを作り上げたうえで、クリティカルシンキングとラテラルシンキングで不足している箇所を補っていきます。このように、3段階の思考をすることであなたの意見はより強固に、より論理的になっていきます。
今回は、トリプルシンキングのうち、主張と根拠を論理的に説明することに特化したロジカルシンキングについて解説していきます。
ロジカルシンキングの基本的な考え方
ロジカルシンキングを実践することで、問題解決力や分析力の向上はもちろん、課題の提案力やプレゼンスキルなど多くのビジネススキルに良い結果をもたらします。
ロジカルシンキングとルネ・デカルト
『我思う、故に我在り』という言葉をご存じでしょうか。
上記の言葉はあまりにも有名な言葉ですが、17世紀に活躍したフランスの哲学者ルネ・デカルトは哲学の第一原理として次のように提唱しています。
この4つの手法を使って、今まで正しいと思ってきたことを一度全て疑うことで問題解決に繋げました。この手法を方法的懐疑といい、現在のロジカルシンキングにも応用されています。
近代の合理的な哲学の礎を築いたルネ・デカルトの著書「方法序説」は、ロジカルシンキングの思考を論理的に学べる哲学書です。
ロジカルシンキングの代表的な論理展開法① 演繹法
ロジカルシンキングの代表的な論理展開法として、まずは演繹(えんえき)法について見ていきましょう。
演繹法は、大前提及び小前提が真であると認められる場合、結論も真を認めざるを得ません。正しい事柄に対して適切な手順を踏んで結論を出しているため、当然結論も正しくなります。
ただし、前提に誤りや偏った見方をしている場合や一般的かつ普遍的事実から飛躍して結論を出した場合には演繹法が成立しません。適切な使い方として『①形式が演繹的に妥当であること』『②前提に誤りがないこと』の2つに注意するよう心がけましょう。
三段論法
演繹法は、論理学における論理的推論の三段論法を用いて論理展開します。
基本構造やパターンの組み合わせがある程度決まっているため、型の使いまわしができるメリットがあります。
ロジカルシンキングの代表的な論理展開法② 帰納法
帰納法は、事実を列挙したうえで、事実から帰納できる結論を推測して明らかにしなければなりません。真となる前提があれば自ずと結論が導き出せていた演繹法に対し、帰納法では結論を導くための想像力が求められます。
帰納法の代表的手法5つ
帰納法には、哲学者ジョン・スチュアート・ミルが提唱する5つの代表的手法があります。
①一致法
複数の事実が1つの特徴を共有する場合、この共通要因をそれらの減少の原因、または結果と考えること
②差異法
複数の事実を並べ、その中から異なるものを抜き出して、その特異性を強調する手法
③一致差異法
前出の一致法と差異法を併用する手法
一致法・差異法どちらかよりも一致差異法で導き出したほうが、より厳密な結論が得られる
④共変法
複数の事実の中から、ある要因を変化させると異なる現象が起こる場合、その要因がある現象の結果となる
⑤剰余法
複数の現象がいくつかの原因で起こる場合、この中から原因であろうとする要因の一部を取り除くと、残りの訪印でいくつかの現象を引き起こすこと
帰納法とMECE
帰納法を使った論理展開をする際には、複数の事実に漏れやダブり、偏りをなくすることが大切です。列挙した事実に重大な漏れがあった場合には、帰納法で導き出した論理は破綻してしまいます。この漏れやダブりをなくすることをMECE(ミーシー)と言います。
Mutually お互いに
Exclusive 重複せず
Collectively 全体に
Exhaustive 漏れがない
人間の思考というものは基本的に漏れやダブりがあるもので、初めて組み立てた理論が最初から完璧に整っていることはまずありえません。3C・4P分析やマトリックスなど、MECEのフレームワークを使うことで、洗練され、より美しい理論を作ることができます。
《MECEを実践するためのフレームワーク》
自社企業を取り巻く環境を突き詰めて分析することで、業界・市場内での自社の立ち位置を客観的に把握するためのフレームワークです。3C分析は柔軟な考え方ができるフレームワークなので、複数のフレームワークと組み合わせて活用できるため、MECEを実践する際によく使われます。
最後に|ロジカルシンキング本おすすめ書籍3冊
ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル
本書は、大手コンサルティング会社であるマッキンゼーアンドカンパニーにてコミュニケーション・スペシャリストとして活躍されている照屋華子氏と岡田恵子氏の共著として、2001年に出版されています。ロジカルシンキングを学びたいと考えている人のほぼ全員が目を通していると言っても過言ではないくらいのバイブル本です。
出版されてからかなり経っているために今の時代と少しずれている部分が出てきていますが、ロジカルシンキングの考え方や根幹は、この本を読めば確実に身に付きます。
入門 考える技術・書く技術ー日本人のロジカルシンキング実践法
ピラミッドロジックの提唱者 バーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』の訳者でもあり、ライティングやロジカルシンキングの講師として活躍している山崎康司氏が書いた一冊です。
日本のビジネスシーンを想定しているため、読んだ瞬間から実践できるような内容となっています。また、右も左も分からない新卒者からある程度ビジネスをこなしてきた管理職まで、全年代でおすすめできる本です。
頭がいい人の「論理思考」の磨き方
ビジネスリーダー育成のためのビジネススクール『グロービス経営大学院』にて教鞭を執る渡辺パコ氏のビジネス書です。
延べ25万人の生徒を教えた経験が随所に盛り込まれているため、本の内容が非常に分かりやすい構成となっているだけでなく、演習問題が盛り込まれているため実践しながら学ぶことができます。
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