人間の認知とは|エビングハウスの忘却曲線とすりこみ効果

皆さんが仮に新商品のPR担当となった場合、どのように売り込みますか?Youtubeやネットで広告を打つ、CMで短期間で一気に顧客を獲得する、口コミで広まるようマイクロインフルエンサーにPRしてもらうなど、今や認知を広げるための手法は多岐にわたっています。

しかし、多数ある認知を獲得する方法のなかで、現在売り出そうとしている商品やサービスに本当にマッチした方法を見つけ出し、適切なタイミングで情報を出していかないと認知を獲得することはできません。なぜなら、認知というのは非常に曖昧なもので、人間は何かを覚えても時間の経過とともに忘れてしまうからです。

最小限の労力で最大限の効果を生むために、認知獲得のマーケティング施策について考えていきましょう。






人間の認知の仕組み

人間の記憶力は人それぞれ異なります。一度見ただけで長期的に覚えられる人もいれば、何度も反復しても覚えられない人もいます。人間の記憶は個々の能力に依存すると思われがちですが、心理学者であるエビングハウスによって規則性があることが分かりました。その規則性を表したグラフを「忘却曲線」と言います。

ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線

出典|eLearning Industory

忘却曲線とは、人間が何かを記憶してから忘れるまでの経過を表したグラフです。

ヘルマン・エビングハウスはドイツの心理学者で、忘却曲線を発見しました。エビングハウスの実験は、全く意味のないものを記憶させているため、興味が引かれるものや事前のインプットがあれば実験結果は異なります。

忘却曲線の実験方法
被験者に無意味な音節を記憶させ、時間と共にどれくらい忘れたか検証

上記の忘却曲線を見ると分かるとおり、一番初めに認知を獲得してから忘却するまでのスピードは約20分と言われており、最初から1時間後までの忘却スピードが最も速くなります。認知してから1日経つと記憶減少はなだらかとなるものの、既に60%もの記憶がなくなっていることが分かります。

このとおり、一度認知を得ただけではすぐに忘れ去られてしまうものの、記憶減少の途中で再度認知を図ることで、忘却曲線を100%へ戻すことができるのです。その後の忘却曲線も1回目のときに比べてなだらかとなっています。認知獲得1回目では、60%の記憶が減少するまでに約1日かかります。それが、認知獲得2回目では、60%の記憶減少まで約2日と忘却期間が延びていることにお気づきでしょうか。

このグラフから見てわかるとおり、一度認知を獲得しただけでは3日で忘れられてしまうものの、何度も情報をすりこんでいくことで忘却曲線はなだらかとなり、記憶に残りやすくなります


覚えてもらうためには「すりこみ効果」が大切

ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線から読み取れるとおり、人間の認知はとてもあいまいで忘れやすいものです。せっかく費用をかけて認知を獲得できたのに、6日後にはほとんど忘れてしまうのは避けたいものですよね。つまり、長期的な認知を獲得するためには、最初に認知を得てからも定期的に情報をすりこんでインプットさせることが大切です。

大手企業のPR戦略

忘却曲線を踏まえたうえで、日本国内の大手企業のPR戦略について見ていきましょう。まずは下記の数字をご覧ください。

トリバゴ|152.7億円
Y!mobile|99.6億円
ニトリ|71億円

この数字、実は2017年3月1日~2018年2月28日までのテレビCM出稿額が大きいブランドトップ3なんです。(引用|株式会社サイカ「テレビCM出稿額が多いブランド_TOP100ランキング」)

第1位がトリバゴの152.7億円、第2位のY!mobileが99.6億円、そして第3位のニトリが71億円とかなりの高額であることが分かります。それぞれのブランドは決して認知度が低いわけではなく、広く一般的に知られている大手ブランドですが、なぜ高額な広告費用をかけてCMを流すかというと、忘却曲線によって多くの人に忘れられないようにするためなのです。



誰もが知っているブランドでも忘れられてしまうワケ

忘却曲線は、認知度が低いブランドだけで起こる現象ではありません。日本中・世界中の誰もが知っているブランドでも忘れられてしまいます。

例えば世界を股にかけるファストファッションブランド ユニクロを例に挙げてみてみましょう。

ユニクロは、言わずもがな誰でも知っているファッションブランドです。おそらく日本人の大半はユニクロ製品を持っているくらい有名ですよね。しかし、これほど知名度が上がって多くの人の認知を獲得しているユニクロでさえ、多額の広告費用を払ってテレビCMを放送していますし、テニスのスポンサー、新聞挟み込みのチラシ配布もしています。

ユニクロの戦略も忘却曲線に則り、人間が忘れるタイミングに再度情報を与え、短期的な記憶から長期的な認知とする戦略を取っていることが分かります。

最後に|おすすめ書籍

 記憶について 実験心理学への貢献

忘却曲線を発見したヘルマン・エビングハウスの論文です。人気があるためか品薄な場合が多く、2020年11月時点ではAmazonでは品切れ状態となっていました。

マーケティングだけでなく、人間の記憶に関する知識を深めたい方はぜひご覧ください。

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